カラダ思いでヘルシーなスーパーフード「蒟蒻」についてもっと知りたい!
こんにゃくの原材料、蒟蒻芋
原産地はインドシナ半島
こんにゃくは「こんにゃく芋」というサトイモ科の植物の球茎から作られる加工食品です。こんにゃく芋は「こんにゃく玉」とも呼ばれることがあり、原産はインドシナ半島といわれています。芋の形状が象の足に似ていることから、現地ではそのまま「象の足」という異名がつけられています。
東南アジアには約130種数の蒟蒻芋の仲間が自生していますが、その多くは日本の蒟蒻芋と品種が違い、「こんにゃくマンナン」という蒟蒻が凝固するための食物繊維が含まれない蒟蒻芋のため加工しても固く固まらず、蒟蒻芋作りには適さないとされています。
収穫までは3年!とても手がかかる「蒟蒻芋の栽培」
蒟蒻芋はジャガイモなどと同じく種イモから育てますが、成長には3年ほどが必要です。
春に植えた種イモから新芋ができ、秋になると「生子(きご)」という蒟蒻芋の子どもができます。蒟蒻芋は寒さに弱く腐りやすいためこの「生子(きご)」を秋に一度掘り起こして収穫し、暖かい場所で保存し、翌春に再度植え付け、また秋に収穫し、3年目の春に植え付けたものが10月~12月になるとやっと大きく収穫に適した(大きいもので直径30㎝ほど)「蒟蒻芋」となり収穫できるのです。
「運玉」と呼ばれた蒟蒻芋
古くから栽培されていた蒟蒻芋ですが、葉に傷がつくだけで病気になり強い日光や風、干ばつ、水はけのわるい場所ではうまく育たないため、長い間、山間部の傾斜地などでしか育たない食物でした。寒すぎる土地では成長が悪いため、栽培地は宮城・山形近辺が北限です。
中国から伝来した後、日本で古くから栽培されていた「在来種」「備中種」がありましたが、生産性を上げる品種改良のため、大正時代に中国の品種「支那種」を輸入して掛け合わせ、栽培しやすく芋が大きい品種ができました。
その後、品種改良が続けられ、昭和30年代に平地での栽培法が確立するまではその育てにくさ、栽培者泣かせの性質から「運玉」と呼ばれ、出荷の相場が不安定な作物だったのです。品種改良されてから現在までは群馬をはじめ、栃木、埼玉などの北関東地方が主な産地となっています。
蒟蒻芋の収穫量(2019年度)単位:トン | ||
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地域 | 収穫量(t) | シェア |
全国 | 64,700 | 100% |
群馬 | 59,700 | 92.3% |
栃木 | 1,820 | 2.8% |
広島 | 452 | 0.7% |
茨城 | 501 | 0.8% |
山梨 | 189 | 0.3% |
出典資料:農林水産省「農林水産統計」、(一財)日本こんにゃく協会「こんにゃくに関する資料」 |
蒟蒻はなぜ固まるの?
蒟蒻芋の主成分であるグルコマンナンは急激なアルカリ反応で凝固する性質を持っていることを利用して、アルカリ性の凝固剤を蒟蒻芋のペーストに混ぜることで固めています。
一旦アルカリで固めてしまうと加熱しても冷やしても溶けることはありません。 その性質を利用して常温保存でも溶けない「蒟蒻ゼリー」などが作られています。
蒟蒻のえぐみ・刺激は有毒性
蒟蒻は珍しいアルカリ性食品、しかもpH12という極めて高いアルカリ性を示していて、蒟蒻芋にはシュウ酸やシュウ酸カルシウムのような有毒物が生成されています。
えぐみ(シュウ酸カルシウム)は生芋から蒟蒻を作る場合、茹でることでほとんど取り除かれます。
蒟蒻粉で作られる場合は、乾燥した蒟蒻芋から精粉にされる段階で、精粉に含まれるシュウ酸カルシウムはすでに約0.1~0.2%程度になっています。
蒟蒻を冷凍するとどうなる?
こんにゃくを冷凍して水分を取り除くと、水に浸けても元のこんにゃくのように弾力の合あるプルプルした状態には戻りません。
これは離水現象と呼ばれ、こんにゃくは水を抱えたまま不可逆性にゲル化するため、冷凍すると水が膨張して繊維の分子が圧縮される部分と、大きく間隔が開く部分が出来て溶解時に一気に水が抜けて起こります。
一度偏った繊維状のグルコマンナンは元のようにならないために元のように吸収しなくなり、穴が不規則にあいて食感もなめらかでない蒟蒻になってしまいます。
「乾燥こんにゃく米 こんにゃく一膳」は原料の蒟蒻芋にインドネシアの「むかごこんにゃく芋」を使用して、特殊な製法で作られているので、お米と一緒に炊いた後で冷凍・解凍しても、味も感が変わらず美味しくいただけるところも大きな魅力です。
どうして「日本のスーパーフード」と呼ばれているの?
スーパーフードとは「健康によい栄養分を豊富に含みながら、栄養価に大変すぐれ、美容・健康に役立つことで注目されている食材」のこと。
蒟蒻の成分は96 - 97%が水分で、それを除いた3~4%の主成分は「グルコマンナン」(こんにゃくマンナン)です。
独特な食感で食べ応えがあるので空腹感を感じにくい上に、人間の消化管ではほとんど吸収されないため、なんと100gあたりたったの5~7キロカロリー!
また食物繊維が豊富で古来より「腸の砂下ろし」 と呼ばれ、人々に「食べて胃腸を整える」食材として重宝されています。カルシウム、セラミドなどの貴重でなかなか摂りにくいミネラル成分も摂取できる、まさに日本が誇る「スーパーフード」なのです。
まとめ
「蒟蒻」がスーパーフードと呼ばれる所以がおわかりいただけたでしょうか?
「ほとんどカロリーがない」ということは、食糧事情が厳しい時代には不利になりますが、
現代のように健康やダイエットのために「摂取カロリーや糖質を控えたい」方の多い時代には、「腹持ちが良いのにカロリーがほぼない」ことは大きなメリットになります。
それだけではなく「蒟蒻」が持つ「もちもち・プルプル」の食感はまさにミラクル!
健康や体型に気を使われている方に、ぜひもっと手軽に楽しんでいただきたい食品です。