こんにゃくを食べて体の内側からキレイに!気になる蒟蒻の栄養素は?
蒟蒻(こんにゃく)の栄養成分と優れた働き
こんにゃく製品の栄養成分表(100g当たりの含有量)
板こんにゃく | 糸こんにゃく(しらたき) | ||
栄養 | 清粉 | 生芋 | 清粉 |
エネルギー(kcal) | 5 | 7 | 6 |
水分(g) | 97.3 | 96.2 | 96 |
タンパク質(g) | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
脂質(g) | 0 | 0.1 | 0 |
炭水化物(g) | 2.3 | 3.3 | 3 |
ナトリウム(g) | 10 | 2 | 10 |
カリウム(g) | 33 | 44 | 12 |
カルシウム(g) | 43 | 68 | 75 |
マグネシウム(g) | 2 | 5 | 4 |
リン(g) | 5 | 7 | 10 |
鉄(mg) | 0.4 | 0.6 | 0.5 |
食物繊維(g) | 2.2 | 3 | 2.9 |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用 |
「蒟蒻」は腸の「お掃除屋さん」
成分の約97%が水でカロリーは5~7kcal程度!(100gあたり)食物繊維を豊富に含んでいる蒟蒻は、現代人が不足しがちな『食物繊維』を簡単に補給できる食材で、カロリーカット・糖質カットが手軽にでき、満腹感も得られるため健康的なダイエットをする方にはぴったりの食材です。
食物繊維こんにゃくマンナンが豊富!
こんにゃくマンナン(グルコマンナン)は人の体内で消化されない水溶性食物繊維で、食前や食事と同時に摂ると血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあると言われています。
胃や腸で消化されないまま腸に入り、水分を吸収して膨らんで、腸内を移動する間に便をやわらかくして老廃物をスムーズに排泄しお通じを助ける働きがあり、食前に食べると満腹感が得られるため、カロリーコントロールや食べ過ぎ防止に役立ちます。
さらに、食物繊維の多い食事は腸内の善玉菌のよいエサになって発育を促し、腸内細菌の働きをお手伝いしてくれ、食物繊維が体内で消化されず腸に排出される際には、脂肪分を吸着し一緒に排出する効果も期待できます。
効果的なカルシウム補給にぴったり!
蒟蒻には卵と同じくらいのカルシウムが含まれており、乳製品以外では食生活の中でなかなか補給しづらいカルシウムを、毎日の食事の中で手軽に摂取することができます。
ナトリウム(塩分)排出を促すカリウムも多く含まれています。
日本人の食生活では塩分の摂りすぎが問題と言われますが、カリウムには余分なナトリウム(塩分)の排出を促進する働きがあり、板蒟蒻(精粉)には100gあたり33mgが含まれています。
カリウムは日常の食事の中で不足しがちな成分のため、カロリーが低い「こんにゃく」から摂取できるのはうれしいですね。
ダイエット・肥満防止効果
弾力性と歯ごたえがあり、プルプル、モチモチとした食感を持つ蒟蒻は、その成分のほとんどが水分のため、カロリーは100gあたりわずか約7kcalと低いのが特徴です。
さらに蒟蒻に多く含まれる「グルコマンナン」は水と混ざると大きく膨らんで満腹感が得やすく、噛めば噛むほどおいしく、ゆっくり食事を味合うのに好都合にできています。
長く噛むことで脳の満腹中枢が刺激され食べ過ぎ・早食いを防いでくれる効果もあります。
乾燥を防いで美肌作りに役立つ「こんにゃくセラミド」(グルコシルセラミド)
蒟蒻に含まれる成分で、最近注目されているのがセラミドです。
セラミドは人間の表皮の一番外側にある、角質層の細胞のすきまを満たしている成分で、年齢とともに皮膚中の含有量が低くなり、水分量が不足して肌の乾燥を招きやすくなってきます。
体内から水分が蒸散するのを防ぎ、肌の潤いを保つ役割を高めてくれることから、保湿力の高いスキンケアコスメなどにも使われていることが多く、健やかな肌づくりには欠かせない成分のひとつです。
食物として食べることも効果的とされ、食べた成分がそのまま皮膚内のセラミドになるわけではありませんが、食べることで体内でセラミドを作る力を促進することがわかってきています。
特にダイエット中は食事量の低下や栄養バランスの乱れから、肌のハリや弾力不足、乾燥が気になる方も多いものですが、そんなお悩みを解決するにもローカロリーで安心して食べられる蒟蒻はおすすめです!
参考文献
■「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告(厚生労働省)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
■食品成分データベース (文部科学省)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
https://fooddb.mext.go.jp/
あなたはいくつ知っていますか?こんなにある蒟蒻の仲間たち!
黒蒟蒻と白蒟蒻、灰色の「生芋蒟蒻」
スーパーに行くと蒟蒻は様々な形状、黒いもの、白いもの、生蒟蒻芋からつくられる乳灰色のものなどたくさんの種類があります。蒟蒻はカロリーが低く、タンパク質も含まない食品のため、日本以外の国ではあまりみかけられることのない食材ですが、日本では料理の種類や地方によって様々な形の蒟蒻が必要とされ、愛されていることがわかります。
蒟蒻粉(精粉)から作られる蒟蒻
蒟蒻粉でそのまま作ると白い蒟蒻になり、東日本で一般的です。
黒い蒟蒻には海藻の「アラメ」の粉が入っており、ゴマのような粒粒に見え、西日本で一般的です。
生の「蒟蒻芋」から作られる「生芋こんにゃく」
古来から作られていた方法で蒟蒻の「生芋」を茹でて擦りおろし、石灰を加えてさらに煮て作る灰色の蒟蒻です。蒟蒻粉から作る蒟蒻に比べて固まる成分の「マンナン」の濃度が少ないため、やわらかい食感になるのが特徴です。
また、生芋から作るために高価なため高級蒟蒻として人気が高まっています。
様々な形、大きさに形を変える「蒟蒻」の魅力
板こんにゃく
おでんなどに使われる最も一般的な四角いこんにゃく。白いものと黒いものがあり関西では黒蒟蒻の人気が高いです。切り分け方でおでんや田楽、煮ものなど様々な料理に使われています。
玉こんにゃく
型などを使って成形せずに丸めて茹でて作ったこんにゃくです。白、黒に加えて、唐辛子・海苔や胡麻などの種類が豊富ですが、玉蒟蒻を3個か4個割り箸に刺し醤油ダレで煮込んだものは、北関東から東北の各地の郷土料理として人気があります。球形の表面のツルツルした食感が独特な蒟蒻です。
刺身こんにゃく
通常の蒟蒻よりも水分が多く、そのまま食べられます。ゆずや胡麻、抹茶、青海苔などフレーバーのあるものが多く、板状のもの、麺タイプのものもあります。しょうゆやポン酢、酢味噌などで刺身と同様に食べたり、サラダ、マリネ、あえ物などに向いています。
レバー生食の規制強化に伴い、レバ刺し風味に加工されたコンニャクも人気があります。
白滝
蒟蒻粉を水に溶かして凝固剤の水酸化カルシウムを加え、糊状のときに細い穴に通しながら茹で、細いひも状にしたものです。精粉から作るものは、まるで白糸の滝のように見えるため、「白滝」と呼ばれています。
短時間で味が染みやすく、すき焼き、おでん、あえ物などに向いています。最近はパスタ、うどん、中華麺などの麺類の代替えとしても人気です。
糸こんにゃく
固まった板こんにゃくを細切りにしたもの。主に関西では「しらたき」を糸こんにゃくと呼んでいます。しらたきより少し太めの幅のものが多いとされます。
※江戸時代から近代は「白滝」と「糸こんにゃく」は製法が違うものでしたが、現在では「蒟蒻粉を水に溶かして凝固剤の水酸化カルシウムを加えた後、細い穴から押し出したものを、両方の名前で呼んでいます。
突きこんにゃく
板こんにゃくをところてんのように押し出したもの。白滝より角型のため食感が程よく固く、味染みが良いので、炒め物あえ物などに向いています。
粒こんにゃく(タピオカ蒟蒻)
様々な大きさの小さな粒状に加工したこんにゃくです。お米と同じ大きさにした「蒟蒻米」はお米に混ぜて炊くとヘルシーなカロリーカット米になり、「タピオカ」くらいの大きさにしたものは「タピオカ」の代替えとしても人気です。ほうれんそう、にんじん、かぼちゃなどの色素で着色したカラフルなものはスイーツとしても使われています。
赤こんにゃく
滋賀県の特産品の「赤い蒟蒻」。色は朱色だが味は白こんにゃくと変わりません。赤色のもとは三二酸化鉄(さんにさんかてつ)という食品添加物で、食物繊維やカルシウムといった栄養も豊富に含んでいます。 形も板、玉、刺身といろいろあり煮もの、すき焼きなどに合います。
※派手好きの織田信長が「朱色の蒟蒻」を作らせたともいわれています。
凍みこんにゃく
茨城の特産品で、寒い冬に薄切りにした蒟蒻を何回も干して凍らせることを繰り返し、水分を抜いてカラカラにし油揚げのような食感を楽しむ干し蒟蒻。水分を含まないためそのまま天ぷら、唐揚げなどにできるほか、肉のような食感になり煮ものなどにも向いています。
まとめ
「カロリーがないけれど栄養もない」と誤解されがちだった蒟蒻の、秘めたるすごいパワーをわかっていただけましたか?
特に「食物繊維」は現代人に不足しがち、摂るのが難しい成分の1つで、それを手軽に摂取できて、しかも美肌効果まで期待できるなんてうれしい食材ですね!
いろいろな種類や形の蒟蒻がスーパーなどで手軽に手に入るので、今まで料理したことがない種類のものにも挑戦してみると新たな発見がありそうです。